低収入の男性との結婚【女性向け恋愛コーチング39話】
前回のお話:お見合いの敗因【女性向け恋愛コーチング38話】
夢子は近所のコンビニで買ってきたサンドイッチを頬張りながら、財布に入れておいた元から受け取った名刺を引っ張り出した。
貰った時には全く気が付かなかったのだが有限会社という事で、やはり本人の言うとおり小さい会社なのだろうと思った。
名刺にはホームページアドレスはおろかメールアドレスすら書いていなくて、一応スマホで調べてみたものの元の勤務先に関する情報は、名刺に書いてある住所と電話番号くらいしか見つからず、かろうじて自転車の補修関係の商材を扱う小さな商社という事だけだった。
まだ偶然知り合ったばかりでデートすらしていない相手の事を調べているのを元さんが知ったら、自分の事をどんな風に思うのかと一瞬考えたが、やっぱり婚活中であるわけだし、会社と結婚するわけでもなく人と結婚するのではあるが、やっぱり気になるのでもう少し調べてみる事にした。
そこで帝国データバンクが販売している企業情報を490円で購入してみる事にした。
企業情報は登録されていたようで直ぐにお目当ての会社は出てきた。
それによると社員数6名で年間の売上は五千万円程度で経常利益で30万円となっていた。
「これじゃ年収300万円程度がせいぜいね。」
別に冷めた感情は湧き上がって来なかったが、やはり結婚を前提に考えると色々思うところがあった。
ただ結婚後に子供を作って生活を維持するとなると、どうシュミレーションしても生活が維持できないのは明らかで、共働きをして上で更に節約生活をする必要があるのが確実だった。
たぶん結婚相談所からの斡旋で、このプロフィールが送られてきたとすると会う前からお見合いNGに区分される男性だったのは確実であるし、元さん本人が低収入なので結婚が難しいと言っていたのは真実なのだろうと思った。
単に遊びで付き合うのなら週末のデートはただ楽しめば良いのではあるが、元も結婚を考えているという事だし、42才のアラフォー婚活中の夢子にとって余計な寄り道をしている時間的な余裕もなかった。
夢子は琥珀色の液体が入ったグラスを一気に空にすると、最初から決めていた事を口に出した。
「やっぱり縁結びの神様のお導きなんだから袖にしたらバチが当たって一生結婚難民として生きていくことになっちゃうものね。」
それから夢子は元へのプレゼント選びに熱中した。
それは恋人へのプレゼント選びみたいでとても楽しかった。
なにせ先日の焼き鳥屋で元は1万円置いて帰って実際のお会計は3千円だったから、差し引き7千円が夢子の手元に残った計算だから、1万円のプレゼントをしても全く負担を感じることはなかった。
約2時間ほどかかって元へのプレゼントはネクタイピンとカウスボタンにして注文した。
いい気分でベットに入った夢子はベットに横になると深い眠りに落ちていった。
朝起きて鏡を見た夢子は疲れがにじみ出た自分の顔を見て愕然とした。
京都行きとか昨夜遅くまで起きていたのが理由なのははっきりしていたが、暫くは十分な睡眠と節制を心がけようと誓って会社に向かった。
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