デートの約束を取り付ける口実【女性向け恋愛コーチング37話】

前回のお話:彼氏を引き寄せる【女性向け恋愛コーチング36話】

縁結びの神様

縁結びの神社として有名な八坂神社に参拝した当日に、まさか男性から声をかけられるとは思っていなかった夢子は、何か見えない力が本当に存在するような気がしてきた。

急な事で何の準備も無かったのだが旅先の気安さなのか、初対面の元(はじめ)さんと、何の屈託もなく会話する事が出来ているのは、やっぱり見知らぬ土地なのだろうかと思いながら会話を続けた。

「あの私もこれからバスに乗って千葉まで帰るのですけど、何かお腹に入れておかないと途中でお腹が減るので、何か食べておこうと思うのですが元さんのお勧めは有りますか?

私このお店初めてというか、京都には修学旅行で一回来ただけで何も予備知識も無いまま、思い付きで来てしまったものですから。」

少しだけ意識して甘えるような、頼るような声で、恋愛ノウハウに書いてあったさりげなく相手の名前を入れて夢子は尋ねてみた。

妥協しない婚活

本当は相手の年齢とか勤め先だとか、恋人がいるかどうかなど聞きたいことが有ったのだが、いきなり切り出すと引かれそうなので、この辺りが妥当だと思う質問をした。

「今の時期でしたらハモなんてどうですか?関西以外じゃハモ切り職人と言って、細かくある骨を皮一枚残して切る職人さんが居ませんから、たぶん関東じゃ口にできないと思います。」

夢子は素早くハモを注文して、せっかく八坂神社のお導きのチャンスを最大限に生かすべく、図々しいかなと思いつつある作戦を思いついて更に言葉を続けた。

「あのそれは何を飲んでらっしゃるんですか?」

と氷の入ったグラスを指さして尋ねてみた。

香母酢

「これかカボスの入ったサワーです、なんでもこっちのほうで栽培しているらしくて、中々さっぱりして美味しいですよ!」

「そうですか!カボスなんて飲んだこと無いです、一口味見させていただいてよろしいですか?」

元は少しびっくりした様子だったが笑顔で答えてくれた。

「私の飲みかけですけど良いんですか? 私は全く気にしませんけど・・」

お店に入って一気に飲み干した中生の勢いも有って、夢子はためらいもなく元の飲みかけのグラスに手を出して一口飲んでみた。

「さっぱりして美味しいです、有難うございます。」

ハモが運ばれてきたので元との中間地点にお皿を置いて言った。

ハモ

「一人で食べきれないと思うのでどうぞ食べてください、でこれはどうやって食べるのかしら?」

元は笑顔を絶やさず答えた。

「この酢味噌で食べるのが私は一番好きです。 じゃ遠慮なく頂きます。」

さて次に何を話そうかと考えていると元が話を始めた。

「実は正直に話しますと昨日の事ですけど、取引先の社長から京都にある縁結びで有名な八坂神社のお守りを貰ったのですよ。

実はわたし今年で36歳になったのですが今だ独身で彼女はもう何年もいなくて、まぁ仕事が忙しいのと、中小企業のしがない営業マンをやっていまして、給料が安いもので半分結婚諦めて結婚難民になるって覚悟していたんですよ。

そのわりに他人の結婚式は多くて年中寿貧乏状態なんですよ。

たぶんそんな私を心配して、わざわざ八坂神社まで出かけて買ってきてくれたんだと思うのですけど、その翌日にたまたまバスの出発まで時間があって、たまたま入ったこのお店に、なんだか引き寄せのオーラみたいなのを感じる夢子さんが居たので、迷うことなく隣に座って声をかけてしまったんですよ。」

八坂神社と言えば午前中に行ってきたばかりの神社で本当にびっくりした夢子は思わず言ってしまった。

「実は私も婚活を始めたばかりで先ずは縁結びで有名な八坂神社にお参りするのが京都に来た目的だったんです・・。」

(途中でさっきは失恋したから来たって言ったことを思い出したが、そのまま訂正はしなかった)

二人は思わず顔を見合わせた。

時計を見るとあと15分位しか時間がなかった。

元が真顔で夢子に言った。

「あの今度の週末でも今夜の続きって事でどこかで一緒に飲みませんか?

上野あたりでしたら中間地点だと思いますけど、どうでしょうか?」

夢子は思わず元の手を握って嬉しそうに言った。

「男の人から誘われるの久しぶりです、私は全然OKです。」

朝まで付き合いますとのど元まで出そうになったが、さすがにそれは言わなかった。

連絡先の交換をする事になって夢子はスマホを取り出してLINEで友達になろうとしたが、元が持っていたのは、画面が白黒の大昔の携帯電話だったので電話番号の交換をした。

「じゃあ今度の金曜日夜の7時に西郷さんの前って事で、なにか用事が出来てこれなくなったら必ず電話します!」

元はそう別れの言葉を述べると1万円札と自分の名刺をおいて店から出て行った。

それから1時間ほどニヤニヤしながらカボスサワーを飲んでお会計をして店を出るてバス停に向かった。

元は自分の会計はちゃんと払った上で夢子の分として1万円を置いていったようで、約3000円払ったら、夢子の財布の中は7千円増えていた。

「やった!」

口実を考えるよりもストレートに自分の気持を伝えたことが結果的に成功につながったと確信した。

1時間ほど待って京都駅前から東京ディズニーシー行の深夜高速バスに乗り込んだ夢子は、席に座ると同時に深い眠りに落ちていった。

ディズニーシー行き夜行バス

夢の中の夢子は元とデートの後にホテルに行って結ばれる夢を見ていたが、やがて夢の舞台は結婚後の生活場面になり、赤字の家計簿を前に頭を抱える自分の姿になったとき、バスがディズニーシーに到着するアナウンスで目を覚ました。

バスから降りると外は雨模様だった。

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