シンクロニシティと元彼との再会【女性向け恋愛コーチング8話】

前回のお話:セルフリスペクトは不要【女性向け恋愛コーチング7話】

進次郎からの突然のメールから数日後の夕方

仕事を早めに切り上げて待ち合わせ場所である喫茶店に約束の時間より5分ほど遅れて到着した。

待ち合わせの喫茶店

進次郎は夢子の好みを覚えていたようでミルクティが既に注文してあった。

席に着くなり暖かいミルクティが運ばれてきた。

「お待たせ!・・全然変わらないじゃない!」

と口に出してはみたものの10年前に付き合っていたころの面影がかろうじて残っている程度で、すっかりくたびれた中年サラリーマンになっていて、道でばったり出くわしても気が付かなかったかもしれない。

あまりにくたびれた外見に昔付き合っていた事はともかく、誘いに乗って会っている事を少し後悔の気持ちも芽生えていた。

そう言えば進次郎の勤める会社は大規模なリストラが行われた噂を聞いてた。

「夢子さんは全然変わらないというより前より綺麗になりましたよね?」

昨日の婚活セミナーで配布された化粧品のサンプルと魔法の化粧法とやらのDVDを見て、しっかり時間をかけてメイクを施した自分の顔は自分で見ても10歳ほど若返った気がしていたが、社内の男性社員の誰一人として気が付いていなかったようで、その事については女子社員も含めて誰も話しかけてくる事は無かった。

妥協しない婚活

夢子は改めて自分の社会での立場を再確認したようで気持ちがブルーになりかけていたところに、進次郎の言葉はお世辞でも嬉しかった。

「急にメールなんてしてきてどうしたの?とっくに素敵なお嫁さん見つけて子供が2人いるって、いまうちの会社にきている営業さんから聞いているわよ」

シンクロニシティというか夜一人でぼんやりしていたら急に夢子さんの事が脳裏に浮かんできて、昔のアドレス帳を引っ張り出して、もうアドレス変えているだろうと思ったんだけど、ダメもとでメールしたらその日の夕方には返事が来てびっくりしましたよ!」

メールを見た時はとっくの昔に別れてしまって、今は二児の父親になった男と再会しても仕方がないので無視しようかとさんざん悩んだ末に、夕方というよりもう夜になってから返事を出したのであった。

久しぶり! お元気ですか? 急にどうしたんですか?

夢子が返信をしてから10分もたたないうちに返事が返ってきた。

久しぶりに会いませんか? いつもの喫茶店で1時間くらい・・

夢子の質問には答えていなかったが、元彼のよしみという事で会う事にしたというより、夢子自身がその夜に進次郎の事を思い出していたので、引き寄せが発生したとしか思えなかった。

進次郎はミルクティを一口飲むと少し声を潜めて切り出した。

「単刀直入に聞くけど今付き合っている人いる?」

「何を急に言い出すかと思えば・・まぁ独り身で孤独じゃなきゃ元彼とまた会おうなんて思わないわよ。

どうしたの?私とやり直そうなんて言わないよね?」

進次郎が目の前にいるのは、夢子が昔の事を思い出しているうちにシンクロニシティが働いて引き寄せたのだと確信はしていたが、よりを戻そうなんて微塵も思っていなかった。

「いやね、今の自分の部署にいる同期の男なんだけど、いま結婚相手を探しているんだ。

話しても信じてもらえないだろうと思うけど先週末にそんな相談を受けて、だれかいないかと夜になってぼんやり考えていたら、何故か急に夢子さんの事が脳裏に映し出されたんだ・・信じないよね?」

まさにシンクロニシティだと思った、ちょうど婚活セミナーに行った日にセルフリスペクトの本を少し読んで、小学校時代からずっと記憶をたどって、最後に進次郎と交際していた頃の事を思い出していたのが、進次郎が夢子の事を急に思い出した時間だったのだ。

「一度会ってみる位ならいいわよ、元彼の頼みだものね?」

今のシュチエーションは夢子が自分自身で引き寄せたのだから、やはり会ってみるべきだと思って返事をしたのだが、言ってからもう少し相手の事を詳しく聞いてから返事をしたほうが良かったと少し後悔した。

「即答OKだとわ思わなかったよ・・助かります。」

「で私はどうすれば良いの?」

「じゃそいつはここから5分とかからないうちの会社で待機させてあるから、今から連絡して呼び出すからどっかで一緒に食事でOKかな? 急な事で難しかったら日を改めるけど・・もちろんこっちの驕りだから食べたいもの何でも構わないよ、食事は僕の記憶が確かなら確かお寿司が好きだったよね?」

進次郎とは返事を伸ばしている間に疎遠になってしまった過去も有るので、夢子は今夜の誘いに乗ることにした。

「ラッキー! 久しぶりにお寿司食べたかったんだ!」

進次郎は携帯電話を取り出すと電話をした。

「お疲れ!えっと今から食事大丈夫だろ?うんじゃあ店が決まったらまた電話するから仕事切り上げてすぐに向かえるように準備しといて・・」

回転寿司

進次郎のいきつけと称するお寿司屋さんは回転寿司だったので夢子は少しがっかりした。

付き合っていた頃はちゃんとしたお寿司屋さんに行くことは有っても回転寿司に行ったことは無かったからだ。

進次郎の会社がリストラをやったという噂は本当だと確信した。

二人が店に到着して5分も立たないうちに男性が到着した。

進次郎の同僚と聞いていたので年下の男性を想像していた夢子だったがどうみても四十代後半にしか見えなかった。

「じゃ僕はまだ仕事があるので失礼します、じゃ夢子さん、佐藤さんお先に!」

そう言うと進次郎は鉄火巻きを2つ口に放り込むとさっさと帰ってしまった。

「はじめまして、進次郎くんと一緒に働いています鈴木と申します。」

「夢子と申します。」

二人の紹介も一切しないでさっさと席を立ってしまった進次郎に腹が立って仕方がなかった夢子は少しムッとしていた、多分男がもう少し若くてハンサムだったら違っていたかもしれないが、先日の焼き鳥屋で本をくれた男といいくたびれた中年男性ばかり、自分の前に現れるのに苛立っていた。

「進次郎くんから綺麗な方だと聞いていましたが想像以上に綺麗な方でびっくりしてます、さあどうぞ好きなものを食べて下さい!」

好きなものって言っても回転寿司なんだから何を食べても一緒なんだし、いきなり淀みなくお世辞を言うのは進次郎と同じ営業マンで新規顧客開拓をやっていて咄嗟にそういう事が言えるのだろうと思った。

「鈴木さんの事は婚活中と言うこと以外は何も聞いていないんですけど?」

その言葉で鈴木の自己紹介が始まった。

歳は45歳で5年前に中途入社で進次郎と同じ部署で働いている事、5年前に10年間連れ添った妻と別れて一人暮らししていること、子供が一人いて前妻が引き取って育てていることなどを一気に説明された。

「苦労されているんですね?」

それから30分ほどで余り会話もしないまま夢子は用事があるからと言って先に店を出てきた。

連絡先の交換も拒否していたから夢子に好感は持たなかったと思うが構わなかった。

タクシーに乗って自分の部屋に帰った夢子は再びセルフリスペクトの本を読み出していた。

セルフリスペクトの本

前と違って書いてあることが心に響いてきた。

貴方の目の前に広がっている現実は貴女自身の心の状態は反映した結果に過ぎません。

セルフリスペクトすることによって貴女自身のステージを1ランク上げて違う現実を引き寄せましょう。

類は友を呼びます、あなたの目の前に現れる登場人物は今の貴女と同じステージに立っている人たちです。

夢子が結婚を意識するようになってから、シンクロニシティとしか思えないような引き寄せが発生しだして、女友達すらいないような冴えない男性ばかり現れるのは、やっぱり自分のステージが低いのだろうかと不安になった。

夢子はスマホを取り出すと進次郎を着信拒否の設定に追加した。

このページのAI朗読(字幕付き)

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