婚活適正検査の結果【女性向け恋愛コーチング6話】

前回のお話:婚活ターゲットはハイクラスの男性【女性向け恋愛コーチング5話】

喫茶店

午後3時半という半端な時間だったためか喫茶店には夢子の他にお客はいなかった。

おしゃれな店内には何故か三波春夫の東京五輪音頭が流れていて、お店に入るまではカフェラテを頼もうとしていた気持ちなのに何故か昆布茶を注文してしまった。

昆布茶は直ぐに運ばれてきた。

昆布茶

夢子は一口すすると自分はこれからどうしたいのか、自分の心に問いかけてみたがよく分からなかった。

自分の気持をはっきりさせてから受け取った結婚力テストの結果を確かめるつもりだったが、いくら自分に問いかけてもはっきりしないの事だけが、はっきりしていたので結果が入った封筒を開けてみることにした。

「なにこれ・・ほとんど平均値以下じゃない・・」

結婚力テストの判定用紙には項目として結婚願望、自分への自信、積極性、自己アピール力、恋愛テクニックがレーダーチャートで表現されており、平均値の50点に対して平均以上の得点が付いたのは結婚願望だけであった。

結婚力テストの結果

夢子様の現在の結婚力の判定は以下の通りです。(平均値50点)

  1. 結婚願望***52点
    結婚願望が若干出てきた状態で強い行動力につながるほどの結婚願望は感じられませんでした。
  2. ご自身への自信***46点
    少しご自身に対する自信が足りないようです。
  3. 積極性***45点
    積極性が感じられませんでした本気で結婚を考えるのであればもっと積極的な気持ちを持つことが大切です。
  4. アピール力***40点
    男性を惹きつけるアピール力が皆無のように感じられます。
  5. テクニック***40点
    男性からアプローチされるスキルが感じられませんでした。

入っていたのはそれだけで拍子抜けするほどだった、セミナーの最後に入会の勧誘が有るかと思ったら、なにもないまま終了してしまったし、入会審査に申し込みはしてみたが婚活適性検査の結果が平均値以下ばかり並んでいるようではきっと審査通過の通知は来ないだろうと思った。

セミナーで受け取った化粧品のサンプルセットと“婚活・恋勝つ必勝メイク”のビデオをぼんやりと眺めながらスマホを取り出してアドレス帳を開いた。

スマホする夢子

今夜は男でも女でも誰かと一緒に夕食を取りたかった、というよりも独りの夕食でどんな心の状態になるのか分からなかったし、今日の婚活セミナーの事を今夜は考えたくなかった。

その理由だけははっきり分かっていた。

プリンセス

いかにも薄幸そうなみすぼらしい女があっという間にパーティーの主役になるような魔法を見せられて、自分よりも年上だった女性のシンデレラ物語を聞かされて、強引に入会を勧誘されるのかと思ったら、入会審査を持ち出された事でご馳走を見せられて、お預けをされてしかも自分が口にすることが出来るかどうか分からない中途半端な状態でセミナー会場から出てきたからだ。

アドレス帳の中から一人の友人を見つけ出すとメールを途中まで書いたが、散々迷った挙げ句に書きかけのメールを削除して喫茶店を後にした。

一時間後、夢子は年季の入った赤ちょうちんの脇の暖簾をくぐっていた。

よっちゃん

こんな男性しか入らないようにお店に来たのは初めてだった。

暖簾をくぐったのは婚活適性検査の結果で積極性が40点だったからなのか、流れ出ていた焼き鳥の匂いが空腹を覚え始めた夢子の心を動かしたのか、たぶんその両方だったのだと夢子は思った。

焼き鳥

空いた椅子を2つ挟んだ隣には、いかにも女に縁の無さそうな中小企業の労働者然とした40歳位の男性が楽しそうに店主と話をしていた。

そやねん、明日は朝から市役所行って入籍の手続きするから今夜は独身最後の夜やねん!

大将!お代わり!

こんな結婚難民上級者みたいな男でも結婚する事に羨望はなかったが、どう考えても女性と付き合うタイプに見えないような男がどうやって結婚相手を見つけて結婚まで至ったのか興味が出てきたので話しかけてみる事にした。

「あのお話が聞こえてしまったんですけど、もうじき結婚するんですって!それはおめでとうございます。」

貴方のようないかにもウダツの上がらないタイプの男性にどんな奇跡が起きて結婚出来たのか、その秘訣を是非聞かせて欲しいと思ったが、それを相手に失礼にならないように、どう切り出せば良いのか考えていると、中年男性の方から勝手に喋りだしてきてくれたので、夢子は頷いて相手の話を聞く姿勢になった。

関西出身なのか妙な大阪弁でしかも、かなり出来上がっている男の話は何度も同じところをループしたりして理路整然とは程遠い内容で、結局どうやって結婚相手を見つけたのか夢子にはよく分からなかったが最後の言葉だけはなんとなく理解できた。

オネエちゃん!犬も歩けば棒に当たるやで、愛も恋も結婚もこっちから動かん限り向こうからは来ないんやで、そやから自分から行動せんとあかんねん。

セルフ・リスペクトして行動すれば結果はちゃんと出るちゅーねん、セリフとちゃうでセルフ自分自身ってことやで!

セルフ・リスペクトの意味がよく分からないので首を傾げていると、中年の男性はカバンからその関係らしい本を夢子に手渡した。

何でも会社の上司から参考にと貰ったのだそうだが、1ページも読まないうちに結婚相手が見つかったので、もう不要なので夢子にプレゼントするというので、お礼を言ってありがたく頂戴してお店を出ることにした。

月よりの使者

お勘定を済ませて外に出た夢子の視界には、今にも雲に覆われそうな月の光が飛び込んできた。

今から自分の部屋に真っ直ぐ変えれば夜7時前になる予定なので、今日はセルフ・リスペクトの本を読んでみようと家路を急いだ。

このページのAI朗読(字幕付き)

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