婚活セミナー【女性向け恋愛コーチング2話】

前回のお話:アラフォー専門結婚相談所【女性向け恋愛コーチングプロローグ】

婚活セミナー

夢子がセミナー会場に到着したのは10分前、どうやら最後の入場者のようで一番後ろの席に案内された。

女性向け恋愛セミナー3時間コースに申し込んだのは、結婚に向けて動き出そうと思っても何から手を付けて良いのか分からなかったのと、42歳の自分にとっていざ相手を探そうと思った場合、一日でも無駄な時間はかけたくなかったので、まずは婚活カウンセラーが主催するセミナーに出てみようと思ったからだ。

参加費用が二千円と安すぎるのが少し気になったが、会場が一流ホテルのセミナールームだったし、住まいから30分足らずだったので参加する事にした。

会場を見渡すとざっと10名ほどの聴講者が確認できたが、後ろ姿しか見えないので年齢まではよくわからなかったが、自分よりも年配の女性も半分くらいは参加しているようだった。

女性係員が資料を一番前の女性聴講者に渡して一部取って後ろに回すように促した。
夢子に回ってきた資料は“婚活適正検査”となっていて、中をめくると質問が並んでいた。

婚活マークシート

「本日はお忙しい中、婚活セミナーにお集まりいただきまして有難うございます。
わたしは本日の講師を務めますカウンセラーの東郷と申します」

年齢は30歳位に見えたが落ち着いた様子や、ウェディング業界の女性は若く見える場合が多いので40歳を超えているかもしれないと夢子は思った。

「今お配りした婚活カウンセリングシートは今から10分間でご記入いただきます。
これは婚活適正検査というより性格判断のようなもので、セミナー終了時に結果をお渡しします。

回答の分析から導き出されたお勧めの婚活方法が書いてありますのでお土産としてお持ち帰りください。」

聴講生が一斉に記入を始めたので夢子もバックからボールペンを取り出すと質問に取り掛かった。

「すでに存知かと思いますが約3時間のセミナーで前半は外見力のアップについて、美容アドバイザーの先生をお招きして、実際にメイクを体験して頂き外見力をアップして頂きます。」

全員がカウンセリングシートの記入に集中しているようで、顔を上げて講師に注目している聴講生はいなかった。

「後半は主に会話術について私からお話しさせて頂きます。」

質問は簡単なものばかりだったが、とにかく量が多かった。
一か月以内にお弁当を作ったことあるか?コンビニとスーパーマーケットのどちらが良くりよするか?といった日常の生活パターンから始まって、家族構成や過去の恋愛回数や失恋回数など実に多岐にわたっていた。

「では時間が来ましたので解答用紙を回収させていただきます、まだ全部書き終わっていない方も、性格判断に関係しますので書き終わっていない状態で出してください」

夢子は何とか書き終わっていたが時間的にはギリギリだった。
たぶん深く考えないで直感で書いたほうが性格が表れるので、余裕のない時間設定になっているのだろう。

壇上には真っ赤なルージュが印象的な美容アドバイザーらしき女性が登壇し、チャーミングな女性の写真の大きなボードを頭の上にかざしてみせた。

婚活メイク

会場が笑いに包まれた

「いいですかみなさん、男性にとって美人は正義・・・不美人は・・・その先はやめておきましょうね!」

会場が軽くどよめいた。
確かにいかに否定しようとそれは紛れもない事実だった。

「絵本に出てくるお姫様やプリンセスで美人じゃない女は出てきましたか?」

夢子が子供の頃に見た絵本に出てくるシンデレラ姫も白雪姫もハッピーエンドに終わるプリンセスは全て美貌の持ち主で、プリンセスに敵対するキャラクターの女性は全て不美人に描いてあった。

プリンセス

「女が幸せになるためには美しくならなくてはいけないのです!」
美容アドバイザーの地方強い声に会場のほぼ全員がうなずいた。

「では今から皆さんの目の前で最強のメイク術をお見せします!」
その声が合図のように脇からいかにも薄幸そうな40代とおぼしき女性が入ってきて、音もなく壇上の横に一段高くした椅子に着席するや否やメイクの実演が始まった。

実演はとても面白かった。

ファンデーションから始まったメイクの実演も最後にアイラインを引いたら、先ほどの薄幸そうな女性とは似ても似つかない、チャーミングな女の子に変身していた。

聴講生は身を乗り出して食い入るように変身してチャーミングになった女性を見つめていた。

「今から皆さんに今のメイク術を解説したDVDと今使ったものと同じ化粧品サンプルを配りますので、ご自宅に帰って今度はご自分に魔法をかけてください!」
“婚活・恋勝つ必勝メイク”と書かれたDVDと4種類の化粧品サンプルと、化粧セットの注文申込書が一緒になっていた。

申込書には赤い大きな字で、婚活セミナー受講生特典一式10万円が70%OFFの3万円、魔法のパフもプレゼント!となっていた。

夢子は心の中で今の実演を見て半分くらいは買うのだろうなと思っていたら、隣に座っている女性は素早く注文申込書を記入していた。

この婚活セミナーはこうやって商品を売る事と新規顧客開拓のために開催しているのかという思いが一周頭をよぎったが、別に購入を強制されてもいないので、参加費用を安くするための工夫だと思うようにした。

「さあ立ち上がって!」
その声にチャーミングに変身したモデルが立ち上がってクルリと一回転した。

確かに顔はチャーミングになったが来ている服はTシャツにすり切れたズボンといういで立ちで、チャーミングになった顔とアンバランスだった。

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