アラフォー専門結婚相談所【女性向け恋愛コーチングプロローグ】

アラフォー結婚相談所

結婚カウンセラー

「そんなに条件高くしたら可能性が無くなっちゃいますよ、40歳過ぎてのアラフォー婚活で失敗する一番の原因が理想を高く設定しすぎて可能性を小さくしてしまう場合が多いんですよ」

話し方は穏やかだけど結婚相談所のカウンセラーは夢子の出した希望カードを見てキッパリと言い切った。

夢子としてはごく控えめに希望を書いたつもりだったので、このカウンセラーが自分の出した結婚相手への希望の何を指して指摘しているのかまったく理解できなかった。

「どの条件を言ってるのでしょうか?」

カウンセラーはもう何度も同じ事を結婚希望者に言っているのだろう、淀みない口調で該当の相手への希望欄を指さしながら微笑んで答えた。

「相手の両親との同居は不可で希望年収は800万円で最低年収が600万円じゃちょっと厳しいんじゃないかしら?」

夢子は一応は名前が通った大企業に正社員として働いていたので、カウンセラーの言葉に素直に同意する事は出来なかった。

「だって私の周りで働いている人は30歳以上ならみんな最低でも年収500万円は貰ってますし、社内で知っている人で結婚している人に親と同居している人は居ないです。」

カウンセラーはにっこり微笑むと明るく言った。

「だったら職場結婚したらいいじゃない?」

喫茶店

30分後、夢子は一人駅前の喫茶店にいた。

夢子は高校時代の失恋以来の挫折感を味わっていた。

カウンセラーいわくアメリカの大富豪が自己破産経験者だったり単純に見た目の数値だけで判断してはいけないと力説したが耳には入らなかった。

申込みになる予定だった結婚相談所への申込みは取りやめた。

カウンセラーは少しだけ条件を緩めたら結婚は難しくないと何度も言って入会を勧めたが、どちらか片方の条件でも下げる気はなかったし、職場結婚すれば?といったカウンセラーの事が嫌いになってしまったからだ。

「そんな職場結婚できてたら、結婚相談所なんて行かないわよ」

アラフォー専門の結婚相談所でのカウンセラーの役割は希望条件を出来るだけ下げさせて、ハードルを低くする事によって成婚率を上げようとする事だと理解した。

同期の女子社員はとっくの昔に寿退社して気が付いたら一人取り残されたお局様になっていた。

新規顧客開拓を専門におこなっている営業部門でアシスタント的な事務をやっていたが、独身男性社員は全員10歳以上の年下ばかりになっていた。

40歳を過ぎてから男性社員から誘われる事も無くなって、例え冗談でも夢子に対して結婚の事を話題がタブーなのは職場の暗黙の掟になっていた。

三十代まではあんなに見合い話を持ってきた両親も親戚も諦めたのか適当な見合い相手が底を尽いたのか、まったくお見合いの話は舞い込んで来なくなった。

「何で急に結婚願望なんて急に高くなったんだろう」

生活に不満がないわけではなかったが夢子の毎日はそれなりに充実した毎日だった。

パラサイト・シングルと違ってそれなりの収入が有るので、気ままな一人旅に出かけたり、雑誌で紹介されたレストランに一人で出かけたり、正社員として大手企業勤め、仕送りの必要も無かったから誰に気兼ねなく自由に自分の好きな事に出費しても誰にも文句を言われない生活だった。

今から1ヶ月前

それは何の前触れもなく突然やってきた高熱と嘔気だった。

夢子は起き上がることも出来ず冷蔵庫にあったミネラルウォーターを飲む以外、立ち上がることも出来なかったので、ひたすら水を飲んでベットに横になっている以外に選択権はなかった。

枕元のスマホだけが頼みの綱だった。

たまたまつけたラジオから流れるニュースは7040問題と結婚難民についての特集で、高熱で朦朧としている夢子の心の中に、結婚の文字と孤独の文字が交互に点滅したような気がした。

少し元気になってベットから起き出した夢子は昔の写真を取り出していた。

デートの写真

「30才の頃に取引先の人と付き合ってたっけ」

取引先の営業マンと半年ほど恋人同士になって何回かデートしたことも有ったし一度きりだが泊りがけで旅行に行ったこともあったのだが、なんとなくお互いが社内で隠すような関係で、やがて相手の配置換えで疎遠になってしまったのだ。

男は結婚を前提に考えていたようだったが、夢子にはまだ結婚する気がなかったのも徐々に疎遠になった原因だろうと夢子はぼんやりと思った。

気が付いたらスマホを手にして結婚相談に関係するWEBサイトを見ていた。

程なくして目に飛び込んできたのが”アラフォー専門結婚相談所”だった。

サイトは沢山のアラフォー女性の結婚成功事例が掲載されていて自分でも大丈夫だと自信が出てきた夢子はスマホから無料カウンセリングの予約を入れた。

しかし30分足らずで感じたのは挫折感だった。

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